夜空に浮かぶ月を眺めると、毎日少しずつ形を変えていきますね。細い月から丸い月に、また細くなって見えなくなったりを繰り返します。この見え方の変化を「月の満ち欠け」と呼んでいます。

およそ1ヶ月ごとに繰り返される月の満ち欠けは、大昔から日にちを数えるために使われ、暦として生活になくてはならないものになりました。

月の満ち欠けのしくみ

地球から見る月の姿は、新月満月半月三日月といった形で日々変化していきます。この現象は「月の満ち欠け」と呼ばれ、地球の周りを回ると、太陽、地球の位置関係が変化することで起こります。実際に月の形が変わるわけではなく、地球から見た時に太陽の光が当たっている部分だけが輝いて見えているのです。

月は地球の周りを楕円形の軌道で回り(公転)、1周するのに約29.5日かかります。この間に、暗くて見えない新月から、少しずつ形が大きくなる上弦、完全に丸い満月、そして形が小さくなる下弦を経て、再び新月へと移り変わります。これが満ち欠けのサイクルです。

月の公転周期は約27.3日ですが、月が公転する間に地球も移動するため、月の満ち欠けの周期は約29.5日となります。また、とても珍しいことですが、潮汐ロックという仕組みによって月の自転周期と公転周期が同じになるため、地球からはつねに月の同じ面しかみることができません。

月の満ち欠けのしくみ
図:月の満ち欠けのしくみ

月相と月齢

月相

天文学では月の満ち欠けを朔望、月に光が当たっている部分の見え方を「月相」や「月の位相」と呼びます。月相は、太陽と月の黄経の差に基づき、満ち欠けの1周期を28分割した数値で表します。日本では主に新月()、満月()、上弦下弦の4つが使われますが、それぞれの間の状態も合わせて8つの月相を使う場合もあります。

主な月相
月相 呼び名 解説
0 新月 新月 太陽と月の黄経差0°。月が太陽と同じ方向にあるため、地球から見る面には光が当たらず、見えなくなる。
7 上弦 上弦 太陽と月の黄経差90°。明るい部分が半分になるため半月とも呼ばれる。月の形を弓矢に例えると、月が西の空に沈むとき弓矢のが上を向くので上弦と呼ばれる。
14 満月 満月 太陽と月の黄経差180°。地球から見る月の全面に太陽の光が当たり、円形に見える。
21 下弦 下弦 太陽と月の黄経差270°。明るい部分が半分になるため半月とも呼ばれる。月の形を弓矢に例えると、月が西の空に沈むとき弓矢の弦が下を向くので下弦と呼ばれる。

月齢

約29.5日の周期で変わる月の満ち欠けの状態を表すために「月齢」という用語が使われます。新月を月齢0として、新月からの経過日数を示します。新月から満月へ向かう中間の上弦は月齢約7.4、満月は月齢約14.8、満月から新月へと向かう中間の下弦は月齢約22.1、月齢約29.5で新月へと戻ります。

月齢カレンダー

下のカレンダーは、今月の月齢が分かる月齢カレンダーです。各日付の日本標準時(JST)正午の月齢を表しています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  • 新月
  • 満月
  • 上弦
  • 下弦

※簡易計算によるため誤差があります。
※月のイラストは一定期間で区切られた模式図のため、実際の見え方とは異なります。特に新月、満月、上弦、下弦は分かりやすく別のマークにしているため、その前後で見え方が矛盾する場合がございますので、ご了承下さい。
※月の位相は地理的位置によってわずかに異なるため、正確な月齢は観測地点によって異なります。また、月齢カレンダーはその日の正午の月齢となっているため、実際の新月、上弦、満月、下弦時の月齢とは異なります。

月の呼び名(月の名前)

月の位相は月齢で表されますが、それ以外にも古くから様々な名前で呼ばれています。良く使われる三日月満月の他にも、童謡にも登場する十五夜俳句季語としても使われる待宵の月など、日本の文化や風習に根ざした呼び名が使われています。

月の満ち欠けを表す呼び名

月の名前一覧
旧暦 月齢 呼び名 英語
1日 0 新月 しんげつ
朔日 さくじつ/ついたち
New Moon
2日 1 繊月せんげつ
二日月 ふつかづき
 
3日 2 三日月みかづき
若月 わかづき
眉月 まゆづき
Crescent Moon
Waxing Crescent
7日 6 上弦の月 じょうげんのつき
七日月 なのかづき
弓張月 ゆみはりづき
Half Moon
First Quarter
10日 9 十日夜の月 とおかんやのつき  
13日 12 十三夜月 じゅうさんやづき Gibbous Moon
Waxing Gibbous
14日 13 十四日夜月 じゅうよっかづき
小望月 こもちづき
待宵月 まつよいづき
 
15日 14 満月 まんげつ
十五夜 じゅうごや
望月 もちづき
Full Moon
16日 15 十六夜月 いざよいづき  
17日 16 立待月 たちまちづき  
18日 17 居待月 いまちづき Waning Gibbous
19日 18 寝待月 ねまちづき
臥待月 ふしまちづき
 
20日 19 更待月 ふけまちづき
亥中の月 いなかのつき
 
23日 22 下弦の月 かげんのつき
二十三夜月 にじゅうさんやづき
Half Moon
Last Quarter
26日 25 有明月 ありあけづき Waning Crescent
30日 29 三十日月 みそかづき
晦日月 つごもりづき/みそかづき
Dark Moon

中秋名月

旧暦の8月15日の夜の月は、中秋の名月と呼ばれ、この日は古くから十五夜のお月見の日として親しまれています。月見団子やお酒をお供えして美しい月をながめる風習は、今も続いています。

中秋の名月は満月と思われがちですが、満月になるとは限らず、日にちも年によって変わります。

満月の呼び名

満月の呼び名には、月の運行や現象と関連し、スーパームーン(1年で月と地球が最も近づく満月または新月)、マイクロムーン(1年で月と地球が最も遠ざかる満月または新月)、ブルームーン(1月のうち2回満月がある場合の2回目の満月)、ブラッドムーン(皆既月食中の赤銅色の月)などの呼び名もありますが、これらは天文用語では無く、占星術慣習などによる呼び名となっています。

天文現象とは直接の関係はありませんが、アメリカの先住民族ネイティブアメリカンは各月の満月に名前を付けて季節や収穫の時期などの目安にしており、現在も満月の日に話題となるのでご紹介します。

満月の名前一覧
呼び名 英語 由来
1月 ウルフムーン(狼月) Wolf Moon 繁殖期が始まる狼が遠吠えする季節
2月 スノームーン(雪月) Snow Moon 雪が深まる季節
3月 ワームムーン(芋虫月) Worm Moon 暖かくなりワーム(ミミズ、芋虫)が地中から出てくる季節
4月 ピンクムーン(桃色月) Pink Moon 春になり開花の早いピンク色の花々が咲き始める季節
5月 フラワームーン(花月) Flower Moon さまざまな花々が咲き乱れる季節
6月 ストロベリームーン(苺月) Strawberry Moon イチゴの収穫を行う季節
7月 バックムーン(雄鹿月) Buck Moon 雄鹿の角が生え替わり枝角が生えてくる季節
8月 スタージョンムーン(チョウザメ月) Sturgeon Moon 北米の湖でチョウザメ漁が盛んになる季節
9月 ハーベストムーン(収穫月) Harvest Moon 秋分の頃、農作物を収穫する季節
10月 ハンターズムーン(狩猟月) Hunter's Moon 月明かりをたよりにハンター達が狩猟をする季節
11月 ビーバームーン(ビーバー月) Beaver Moon ビーバーの巣作りや捕獲のための罠をしかける季節
12月 コールドムーン(寒月) Cold Moon 本格的な冬の寒さが訪れる季節

※諸説あります。
※他にも、地域によってさまざまな呼び方があります。