星の明るさとは

星の明るさを表す場合、等級という単位が使われます。等級には見かけの等級や実視等級絶対等級などの種類があり、小さい数値ほど明るくなります。1.5等級未満の明るさを持つ星を1等星と呼び、全天で21個の1等星があります。

等級

地球から見た星の明るさは、一般的に「等級」という単位で表されます。

天文学者ヒッパルコスが肉眼で見える最も明るい星を1等星、 やっと見えるくらいの暗い星を6等星と決めたのが始まりで、等級が小さいほうが明るくなります。1等級ちがうと明るさが2.5倍ちがい、0等星やマイナス1等星などの、より明るい星もあります。

冬の夜空に明るく輝くおおいぬ座シリウスはマイナス1.46等級、夏の夜空に赤く輝くさそり座アンタレスは1.09等級になります。

星の明るさ
図:星の明るさ

等級には、地球から特定の波長で観測した時の見かけ上の明るさを示す「見かけの等級」や、肉眼で見える波長の範囲で観測した明るさを示す「実視等級」など、いくつかの基準があります。

見かけの等級
(apparent magnitude、m)

天体から届く光には、さまざまな波長の光が含まれます。地球から特定の波長帯のフィルターを通して見た(測光した)ときの明るさを「見かけの等級」という単位で表します。同じ天体でも、どの波長帯の光を測光するかによって等級は異なります。

波長帯には、Uバンド(365ナノメール近辺:紫外線)、Bバンド(445ナノメール近辺:青色光)、Vバンド(550ナノメール近辺:可視光)などいくつかの種類があります。Vバンドは、人間が肉眼で見るときの波長に近いことから、特にりが無い場合、見かけの等級はVバンドで測光した値を指します。

実視等級
(visual magnitude、mv)

緑から黄色の波長の感度が高い人間の肉眼で見た明るさを「実視等級」という単位で表します。人間の目が認識できる可視光で見た場合に限定されるため「見かけの等級」とは定義が異なります。Vバンドで測光した見かけの等級とほぼ同じ等級になる事から、実視等級として見かけの等級を記載する場合もあります。

等星

星を示すときに、「こと座の1等星ベガ」とか「しし座の2等星デネボラ」など、「等星」という呼び方をする場合があります。

等星は星の等級をある範囲で分けた場合の呼び方で、実視等級が0.5等級以上1.5等級未満の明るさの星を1等星、1.5等級以上2.5等級未満を2等星というように、星を明るさでグループに分けるときに使います。0.5等級より明るい星は0等星やマイナス1等星となりますが、一般的に1.5等級未満の星を1等星と呼んでいます。

絶対等級

地球から星までの距離はいろいろです。同じ明るさに見える星でも、地球に近い星だったり、遠い星だったりすることもあるのは、星そのものの明るさや大きさが違うからです。

星そのものの明るさは、「絶対等級」という単位で表されます。 これは、星までの距離を同じにした場合(約32.6光年)の明るさを比べたもので、シリウスは1.4等級、アンタレスはマイナス4.9等級となり、星そのものの明るさはシリウスよりアンタレスの方が明るいのです。

1等星一覧

全天には1.5等級未満の明るさを持つ星が21個あります。その多くは星座を形作る主要な星であり、日本からは見ることができない星もあります。

表:1等星一覧
名称符号見かけの等級星座
1シリウスα CMa-1.46 *おおいぬ
2カノープスα Car-0.74りゅうこつ
3ケンタウルス座α(αA+αB)α Cen-0.1ケンタウルス
4アークトゥルスα Boo-0.05うしかい
5ベガα Lyr0.03 *こと
6カペラα Aur0.08 *ぎょしゃ
7リゲル(βA)β Ori0.13 *オリオン
8プロキオンα CMi0.37こいぬ
9ベテルギウスα Ori0.42 *オリオン
10アケルナルα Eri0.46 *エリダヌス
11ハダルβ Cen0.58ケンタウルス
12アルタイルα Aql0.76わし
13アクルックス(α1+α2)α Cru0.81みなみじゅうじ
14アルデバランα Tau0.86 *おうし
15スピカα Vir0.97おとめ
16アンタレス(αA+αB)α Sco1.09 *さそり
17ポルックスβ Gem1.14ふたご
18フォーマルハウトα PsA1.16みなみのうお
19デネブα Cyg1.25 *はくちょう
20ミモザβ Cru1.25 *みなみじゅうじ
21レグルスα Leo1.40 *しし

*変光により明るさは変わります。

※文献により見かけの等級は異なります。
※名称は、変更または規定する範囲が変わる場合があります。

※当サイトの見かけの等級は「SIMBAD Astronomical Database - CDS (Strasbourg)」の値を採用しています。