消えゆく星ベテルギウス(Betelgeuse)

ベテルギウスはオリオン座α星で、オリオン座の巨人が振り上げる右腕の脇の下にあたる星です。おおいぬ座の1等星シリウスこいぬ座の1等星プロキオンと合わせて冬の大三角を作っていることでも知られています。

ベテルギウス
図:ベテルギウス

地球から見える恒星の中で9番目に明るく(太陽をのぞく)、0.42等級という明るさで、赤く輝いて見えます。オリオン座のもう1つの1等星リゲルよりも暗い星ですが、多くの天文学者が注目している星でもあります。

ベテルギウスは赤色超巨星と呼ばれる、もうすぐ星の寿命が終わろうとしている星です。半径が太陽の1,000倍もあると言われる巨大な恒星ですが、近年、その大きさが一気に小さくなり、形もゆがんで不安定になっていることから、もうすぐ爆発して星の寿命を迎えると考えられています。

太陽から640光年という距離にあり、星の光が私たちに届くまでに640年もかかるため、今見えている光は640年前にベテルギウスが発した光です。もしかするとベテルギウスはもう無くなっているかもしれないのです。オリオン座は形を変えてしまうかもしれませんね。

2020年10月に東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の野本憲一上級科学研究員を含む国際共同研究チームにより発表された研究によると、ベテルギウスの現在の質量は太陽の16.5倍〜19倍、大きさは従来の値より小さく、太陽の750倍、地球からの距離は従来の値より近い、530光年であることが分かりました。また、すぐにでも超新星爆発をおこすような状況ではなく、10万年以上先になるとのことです。

基本データデータの見方

固有名ベテルギウス(Betelgeuse)
学名α Orionis(α Ori)
位置赤経:5h55m54s 赤緯:7°24′30″
見かけの等級0.42(0.0〜1.3変光)
太陽からの距離640光年
星座オリオン座