2013年11月から12月に観られる、アイソン彗星は最大で月ほどの明るさになり、もしかしたら史上もっとも明るい彗星か!?と、とても期待されています。
そんなアイソン彗星観測のポイントを詳しくご紹介します。
2013年1月7日公開(2013年11月29日更新)
【11/29】
残念ながら近日点通過時に核が崩壊し、肉眼での観察は困難となりました。ガスやチリは残っていても、核は消滅したもようで、天体望遠鏡での観察も初心者には難しいでしょう。
アイソン彗星とは
2013年に観られる彗星の中で、後半で話題となっているのがアイソン彗星(ISON C/2012 S1)です。
約76年に一度やってくるハレー彗星などの周期彗星と違い、太陽に近づくのは今回限りのため、今回を見逃すともう二度と見ることができません。アイソン彗星が見られるのは、一生に一度きりのチャンスなのです。
アイソン彗星は、2012年9月に国際科学光学ネットワーク(ISON:International Scientific Optical Network)のチームにより発見されたばかりの彗星です。太陽に最も近づく11月29日午前4時(日本時間)頃には、月の明るさに近いマイナス10等級ほどの明るさになると予想され、場合によっては、史上もっとも明るい彗星となるため話題となっています。
ただ、彗星の明るさの予測は難しく、実際に近づいてみないと分かりません。近日点と呼ばれる太陽に最も近づく頃に、急に明るくなって長い尾を見せたり、逆に、彗星の中心部分がこわれて無くなってしまうこともあります。
アイソン彗星の軌道
アイソン彗星が、太陽に最も近づく近日点を通るのが、11月28日午後7時(日本時間11月29日午前4時)頃と予想されています。
この時の彗星から太陽までの距離は約187万km(0.0125天文単位)と予想され、太陽の直径が約139万kmなので、宇宙のスケールで考えると大接近と言えます。
いままで太陽に大接近した彗星は、明るく大きな尾が見られることが多く、アイソン彗星にも期待がふくらみます。
しかし、太陽に接近する彗星は、太陽の強力な熱や引力により、氷でできた彗星の核が溶けて無くなったり、小さく分かれてしまう場合もあります。アイソン彗星は直径が約5kmと、平均的な彗星と比べると大きいので、無事に太陽を回り、夜空に輝く大彗星になると期待されています。
アイソン彗星は非周期彗星という種類で、一度太陽に近づいた後は太陽からどんどん遠ざかり、二度と太陽に近づくことはありません。
アイソン彗星を観察しよう
11月のアイソン彗星
アイソン彗星は、11月に入ると、しし座からおとめ座を通りてんびん座に向かって移動していきます。
11月上旬は深夜から明け方にかけて見えますが、まだ7等級と暗いため、観察には天体望遠鏡や双眼鏡が必要です。
11月中旬以降は明るさを増し、明け方の東の空に尾を引く彗星の姿を見ることができるでしょう。月が沈み、夜が明けるまでの時間が見頃となります。
11月後半は、夜明け前の少し明るくなってきた頃に東の空に見えるようになり、そのまま夜が明けていきます。0等級ほどの明るさになるため、夜が明けてもしばらくは見られるかもしれません。
近日点に近づく11月末には、残念ながら太陽の光に遮(さえぎ)られて見ることができなくなります。ただし、彗星の明るさがマイナス7~10等級まで明るくなれば、昼までも見える可能性があります。
肌寒い季節ですが、早起きして探してみましょう。
12月のアイソン彗星
12月に入り、近日点を過ぎたアイソン彗星は太陽から徐々に遠ざかり、明け方の東の空をへび座からヘルクレス座へと移動していきます。
近日点を通過した直後は、明け方に尾だけが見えるようになり、そのまま日が昇って見えなくなります。太陽の光に遮られて見えにくい日が続きますが、しだいに見やすくなっていきます。太陽から少し遠ざかり、見える高さが高くなる5日~10日頃が見頃となるでしょう。
前半は明るく尾も長く延びますが、後半は暗くなり、尾も小さくなっていきます。
後半は日の入り後の西の空でも見ることができるようになります。