2025年1月12日、火星が地球に最接近します。今回は、2018年の「大接近」ほどではないため「小接近」と呼ばれますが、それでも地球との距離が約9,608万キロメートルまで近づき、火星観察には絶好のチャンスとなります。
地球と火星の動き
火星の見える位置
2024年9月頃から、火星は次第に明るくなり、天体望遠鏡での観察もしやすくなります。最接近のころには、視直径が約14.6”、明るさがマイナス1.4等級と、赤く輝く火星が普段よりも何倍も大きく見えるでしょう。最接近の当日だけでなく、その前後1~2ヶ月の間も火星の明るさや大きさが変化していく様子を観察すると、天体の動きを身近に感じられます。
2024年1月にいて座にある火星は、その後、黄道十二星座をめぐり、最接近の前後3ヶ月はふたご座とかに座の中を行ったり来たりしています。
東京では、1月12日の日の入り直後の午後5時ごろに北東の空に火星が昇り、最接近となる午後10時37分頃には東南東の空で56°の高さに達します。満月前(月齢12前後)の明るい月が近くにあり、月明かりがやや邪魔ですが、それでも火星はマイナス1.4等級で輝きますので、天体望遠鏡での観察におすすめです。
この時期には、冬の夜空を彩る「冬の大三角」を形作るシリウスやベテルギウス、プロキオンなど、1等星も多く見られるため、星空がいっそう華やかです。
火星の大きさの変化
火星は、2024年後半から徐々に大きく明るくなり、11月以降に急速に大きく見えるようになります(下の表を参照)。
火星が地球からもっとも遠いときの見かけの大きさ(視直径3.5”)と比べ、今回の最接近時(視直径14.6”)には約4.2倍の差があります。2018年の大接近時よりは小さいですが、今回も十分に観察の価値があります。ぜひ天体望遠鏡を使って観察し、スケッチや写真撮影にも挑戦してみてください。
次の図は、火星の見掛けの大きさをイメージするための模式図です。
2024年〜2025年にかけての火星と地球の距離、視直径、明るさをまとめました。
年月日 | 地心距離 (万km) | 視直径 (秒角) | 明るさ (等級) |
---|---|---|---|
2024年1月1日 | 3億6,230 | 3.9 | +1.4 |
2024年2月1日 | 3億4,660 | 4.0 | +1.3 |
2024年3月1日 | 3億3,030 | 4.2 | +1.3 |
2024年4月1日 | 3億1,240 | 4.5 | +1.2 |
2024年5月1日 | 2億9,540 | 4.7 | +1.1 |
2024年6月1日 | 2億7,780 | 5.0 | +1.1 |
2024年7月1日 | 2億5,980 | 5.4 | +1.0 |
2024年8月1日 | 2億3,860 | 5.9 | +0.9 |
2024年9月1日 | 2億1,360 | 6.6 | +0.7 |
2024年10月1日 | 1億8,500 | 7.6 | +0.5 |
2024年11月1日 | 1億5,180 | 9.2 | +0.1 |
2024年12月1日 | 1億2,000 | 11.7 | -0.5 |
年月日 | 地心距離 (万km) | 視直径 (秒角) | 明るさ (等級) |
---|---|---|---|
2025年1月1日 | 9,800 | 14.3 | -1.2 |
2025年1月12日(最接近) | 9,610 | 14.6 | -1.4 |
2025年2月1日 | 1億0,260 | 13.6 | -1.0 |
2025年3月1日 | 1億2,970 | 10.8 | -0.3 |
2025年4月1日 | 1億7,120 | 8.2 | +0.5 |
2025年5月1日 | 2億1,350 | 6.6 | +1.0 |
2025年6月1日 | 2億5,430 | 5.5 | +1.3 |
2025年7月1日 | 2億8,860 | 4.9 | +1.5 |
2025年8月1日 | 3億1,740 | 4.4 | +1.6 |
2025年9月1日 | 3億3,880 | 4.1 | +1.6 |
2025年10月1日 | 3億5,270 | 4.0 | +1.6 |
2025年11月1日 | 3億6,050 | 3.9 | +1.5 |
2025年12月1日 | 3億6,260 | 3.9 | +1.3 |